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肖像画を見ると。
「マキァヴェリズム」 とか、
「権謀術数」
という言葉から、
もっと堂々とした体躯の男性を想像していましたが。
10月の、NHK Eテレ 『100分de名著』 は
『君主論』 がテーマでした。
なんとなく、
マキァヴェッリ(を知ること)がかっこいいと思っていた
単純な私は、テキストを購入して全4回に臨みました。
『100分de名著 君主論 マキャベリ』 NHK出版刊
イメージと全く違うんですね。
驚きました。
書かれた背景を聞くと、
「自らが外交官としての職に再び返り咲くために、
次期フィレンツェ君主に向けて書かれた就職論文」
だそうです。
何としてでも用いられたい、
という必死のあがきが、彼を執筆に駆り立てたんですね。
確かに仕事ないときって、
本当に先が見えず、不安で仕方ないもの。
それだけは、私にもよく分かります。
キーワードは 「力量」。
おそらく、「徳」なんかのニュアンスを含んでいるのでしょう。
「人間は運命に支配される存在だけれど、
その力量で運命を変えられる」
というのが、彼の信念。
そして、彼が 「理想の君主モデル」 として挙げているのが、
チェーザレ・ボルジアその人です。
チェーザレとはどのような人物なのか?
以下のマンガを、ぜひご参照ください。
『チェーザレ 破壊の創造者』 総領 冬実著 講談社(KCデラックス)刊
お借りして(いつもありがとうございます。)、
読んだのですが…。
ものすごく良く出来た作品です。(現在、第8巻まで出版中)
「カノッサの屈辱」についてなんて、
今まで読んだどのテキストよりも深く理解出来ました。
もちろん、マキァヴェッリはこの作品にも登場します。
(ずいぶん意外な形で。)
今後は、
『君主論』 作品そのものと、
塩野七生氏の 『マキァヴェッリ語録』
の読破を目指します。
ジェフリー・アーチャー。
今日はこの作家の紹介です。
彼の作品は3つのジャンルに大別されます。
① 壮大なサーガ
② サスペンス・ミステリー
③ 短篇小説
この人のすごいところ。
とにかく、どれも優れている、という点。
サーガは文庫2冊という長さでも
時間を忘れてぐんぐん引き込まれてしまうし、
サスペンスものは、気がつくと登場人物とともに
ドキドキ・ハラハラを共有して、危険や困難に立ち向かってる自分がいるし、
短篇は洒脱で小気味よく、作品それぞれに感動やおかしみ、せつなさが込みあげます。
それらは、アーチャー氏の魅力を最大限に引き出した訳者、永井 淳氏の功績も
非常に大きいと思います。
永井氏の文章だから、ずっと安心して読んでました。
永井氏の死後、その世界観は戸田 裕之氏に引き継がれています。
短篇小説が好きな私ですが、
ジェフリー・アーチャーだけは常に別格。
最近のクリティカル・ヒット、2作品。
『ゴッホは欺く(上・下)』 新潮文庫
ジャンルとしては上記の②に属し、
芸術に造詣の深い彼ならではの作品。
聡明で勇敢なヒロインが大活躍します。
『誇りと復讐(上・下)』 新潮文庫
無実の罪で投獄されることになった男の物語。
さながら、現代の『モンテ・クリスト伯』。
ヤマ場てんこ盛り、というよりも、ずうっとヤマ場です。
最後の最後まで気を抜けません!!
それから短篇。
『十二の意外な結末』。
この中の一篇、『クリスティーナ・ローゼンタール』。
そして、『十二本の毒矢』の中の、『ある愛の歴史』。
素晴らしいの一語に尽きます。
本屋さんで、図書館で。
アーチャーの作品を見つけたら、
どれでもいいから手に取って読んでみてください。
それは必ず、当たりです。
長くなりましたが、最後に。
氏の魅力にとりつかれたら、ウィキペディアかなんかで
ぜひ経歴を調べてみてください。
今回のタイトルの意味が、お分かりいただけるかと思います。
あまりにも書評欄で絶賛されていて、
タイトルに魅かれて読んだ一冊。
スティーブン・ミルハウザー 著 柴田 元幸 訳 白水社刊
淡々とした狂気。
異次元という現実にはまり込んだ人々の物語。
何かハッキリとした大きな事件が起こって…
という展開ではないからこそ、
疑問?という余韻が残る作品ばかりです。
実は、以前オリジナルで読んだことがあります。
英語の感想は、
無機質でモノクローム。
話の筋とは本来関係がなさそうな
風景の緻密な描写に満ちています。
具体的な感情表現はほとんどありません。
けれど、それこそが
うすら寒いような、何とも表現しがたい世界を醸し出しています。
それゆえすっきりとした読破感がなく、
名訳者、柴田氏の翻訳で読み直したのですが。
やっぱり印象が違いました。
日本語にすると、
ものすごく彩られた表現になっています。
(私が英語を理解出来てなかっただけ?)
表題作の 『ナイフ投げ師』 や
『新自動人形劇場』。
自分の芸を究め過ぎて、
その行き着いた先に幸福を見い出した人々。
しっくりと来ない居心地の悪さ。
マニア(というよりもはや信者?)は
その毒に冒されて、読み続けるしかないのです。
ミルハウザー氏こそ、
自らが創りだした世界の住人です。
子どもの頃に大好きだった絵本、見つけました。
『からすのパンやさん』 加古 里子 著 偕成社刊
1973年に発行されてるんですね。
出てくるパンがこんがりおいしそうで、かわいくて。
あまりに懐かしくて、思わず立ち読みしました。
いたいた、4羽の子どもたち。
名前も面白かったよなあ~
なんて思って読んでましたが…。
子育てに追われて、
だんだんパンやさんが回らなくなって、
『びんぼうになっていきました。』
っていうくだり。
今まで全然知りませんでした。
大人になって感じられる、リアルな展開。
そんな場面はすっ飛ばして
おいしそうな絵ばっかりに見入ってたんでしょうね。
分かってなかったんだなあ、何にも。
せつなくなってしまいました。
ハッピーエンドだけれど。
そこに至る道には、
家族みんなの奮闘と、
お客さんみんなの声援があって。
(お店を盛り立てていくって、こういうことなんだなあ。)
秋にふさわしい色使い。
今の季節にぴったりの一冊です。
そして、私は今でもきっと
何にも分かっていません。
大人になったけど。
プロの話が大好きです…。
「その道」を知る人の話は、
奥が深くて、なるほどなあと感心することばかり。
ということで、今回は
「プロが語る本」の紹介を。
1冊目は、
『スパイのためのハンドブック』 ウォルフガング・ロッツ 著
ハヤカワ ノンフィクション文庫
ふらっと本屋さんで見つけて、即買いした本です。
基本はケッティーなので、あまりこういうことはしません(笑)。
ある諜報機関で活躍した大物エージェントが教えてくれる、
スパイ活動について。
この本の面白いところ。
華々しい活躍の裏にある、
情報部の上司への経費計上の方法。
本当の自分との折り合いのつけ方。
引退後の生活法。
めっちゃリアル。
ハードボイルド調かつアイロニーに満ちた文体で
書かれていますが、実はユーモラス。
でも、犠牲にしてきたものも多い。
幸せって?
『三島由紀夫レター教室』 三島 由紀夫 著 ちくま文庫
いわゆる「書簡体形式」の作品です。
きちんとした小説として成立していながら、
いろんな状況下で書く手紙の文例集としても機能しています。
さすがのミシマ先生ならではのウィットで
高等テクニックを教えていただけるという、お得な本。
最終章は、『作者から読者への手紙』。
氏の「ものを書く」、という姿勢が
ここに集約されている気がします。
これを反映して、ブログが書けるようになればいいんですけど、ね。